当店は産地スリランカで自ら買い付ける供給元です。中間の卸や仲介を通さず、お客様のお手元へ直接お届けしています。

市場に並ぶサファイアの多くは、地面から出てきたときの色のままではありません。推定で、商業的に流通するサファイアの90〜95%が、買い手の手に渡る前に加熱処理を受けています。ブルーに限れば、商業流通しているもののおよそ95%が加熱処理された石です。加熱処理は例外的な出来事ではなく、この宝石が世に出るときの前提のほうです。

それでも日本語で調べて出てくるページの多くは買い取る側が書いたもので、話は「加熱処理された石は価値が下がります」で終わります。炉の中で結晶に何が起きているのか、なぜスリランカの原石はそもそも加熱を前提にしているのか、そして加熱の痕跡が鑑別書にどう印字されるのか。そこまで書いたページはほとんどありません。このページはそこを埋めるために書いています。

処理の有無が値段にどう効くのかを先に知りたい方は、サファイアの価格の決まり方をご覧ください — 七つの要素のうち、処理は倍率で効く数少ない項目です。

かつては「エンハンスメント」と呼ばれていました

日本ではかつて、宝石に施された手当てを「ナチュラル」「エンハンスメント」「トリートメント」の三つに分けて表示していた時期がありました。加熱は前者に近いもの、より積極的な処理は後者、という大まかな区分です。この分け方はもう使われていません。消費者保護の観点から、区分ではなく具体的にどの処理を行ったのかを鑑別書に書くよう求められるようになったからです。

だから今日のサファイアは「加熱処理」と名指しで開示されます。そしてそれは売り手の親切ではありません。GIAの日本語の解説も、宝石を販売する者は宝石に施された処理法を開示する必要があり、それは法的な義務であると明記しています。国際有色石協会(ICGA)をはじめとする業界団体も、商取引における加熱処理の開示を求めています。

加熱処理とは、要するに何をしているのか

サファイアの加熱処理とは、天然のコランダムを管理された炉に入れ、1,000℃から1,800℃のあいだの温度で熱し、色か透明度、あるいはその両方を改善する工程です。石そのものを作り替えるわけではありません。結晶の中にもとからある元素の並び方と、内包物の状態を動かしているだけです。

この技術は新しいものではありません。コランダムの加熱は、南アジアから東南アジアの宝石取引地域で何世紀も、おそらく千年以上にわたって行われてきました。現在では、タイ、マダガスカル、オーストラリアをはじめとする商業的な産地で採れたサファイアの多くが、世界市場に出る前にタイの工業用の炉で処理されています。タイは歴史的にサファイアの取引と処理の中心地です。

そして、この工程が変えられないものがあります。石の素性です。加熱処理を受けた天然サファイアは、天然サファイアのままです。

ギウダ|スリランカの、加熱を前提とした原石

加熱処理の話をスリランカから始めると、話の順番が変わります。日本の宝石業者の用語集はギウダ(ギューダ、ゲウダとも書かれます)を、乳白色・白色・淡い青色をした半透明から不透明のサファイアの原石であり、加熱すると濃い青色のブルーサファイアが得られるもの、産地はスリランカなど、と説明しています。

これは重要な事実です。ギウダは「そのままでは売り物にならない石を、加熱でごまかしたもの」ではありません。加熱されることを前提に採掘され、選別され、値段が付く原石の区分です。ラトゥナプラ(ラトナプラとも表記)の市場では、この原石を見て、どれが炉から濃い青になって出てくるかを読むこと自体が値段の付く技能です。思ったように反応しない石もあります。だからこそ、原石を読む経験と知識が処理する側に要求されます。

温度についても記録があります。宝石学会(日本)の論文「サファイアの加熱処理 -再考-」は、ギウダの加熱を1,200〜1,350℃以上として記載しています。

加熱処理にかける原石を準備しているところ

炉の中で起きていること

どんな炉を使うのか

使われるのは電気炉、ガス炉、ディーゼル炉です。日本のGSTVの宝石講座は、ルビーの加熱は1,000℃前後の電気炉で数十時間かけて行い、ブルー・サファイアは1,400〜1,500℃の高温を必要とするためガスやディーゼルのオーブンを用いる、と説明しています。古くからの方法として、吹管(ブローパイプ)で一部だけを熱する単純な加熱も残っています。

効率を上げるためにボラックス化合物を使うことがあります。これは石の表面を保護し、熱の回りをよくするためのもので、後で述べる「割れの中に残るもの」の話につながります。

温度と、結晶の中で起きること

実務上、この1,000〜1,800℃という範囲は1,000〜1,100℃、1,100〜1,400℃、1,400〜1,600℃、1,600〜1,800℃という帯に分かれ、狙う変化によって使い分けられます。参考までに、1,400℃は溶岩よりも高温です。

ここで一つ、はっきり書いておきます。この範囲のどこか一点が「標準の温度」だ、というものはありません。石ごとに、狙う変化ごとに違います。数字を一つだけ挙げて「サファイアは何度で焼く」と書いているページは、たいてい何かを省略しています。当店が確認できているのは、次の三つの目安だけです。

温度の目安結晶の中で起きること
およそ1,200℃を超えるとルチルのシルクがコランダムの結晶に溶け戻りはじめます。針の二酸化チタン(TiO₂)が、周囲の酸化アルミニウム(Al₂O₃)に反応して吸収されます
およそ1,600℃を超えると表面に達した割れが部分的に癒着します。割れの面どうしが焼結し、割れが目立たなくなります
1,800℃を超えるとコランダムの融点に近づき、石が傷む可能性が高くなります。この領域はサファイアの商業的な加熱には使われません

そして高温では、鉄とチタンの原子が結晶格子の中を動けるようになり、位置を変えます。青を生んでいるのは、鉄とチタンが隣り合ったときに光が当たると電子が一方からもう一方へ移る現象です。原子が動いてこの組み合わせが増えれば、青は濃くなります。サファイアがこの工程に耐えて、しかも色が良くなって出てくるのは、コランダムの硬さと熱に対する安定性があってのことです。

炉でサファイアを加熱しているところ

色に何が起きるのか

加熱の効き方は色によってまるで違います。下の表のいちばん右の列は、当店がいま現に掲載している石の内訳か、確認できている流通の傾向のどちらかです。種としてのサファイアが必ずそうなる、という意味ではありません。

色加熱で起きること加熱されていることが多いか
ブルー鉄とチタンが動いて再配置され、青を生む組み合わせが増えます。灰色に見せていた鉄の状態による吸収が減り、くすみが抜けます多い。商業流通するブルーサファイアのおよそ95%が加熱処理されています
ティール青と緑の均衡が崩れ、青か緑のどちらかに寄って、ティールらしさが失われます非加熱のまま市場に出るものが多い色です。当店の8本はいずれも非加熱と開示しています
イエロー鉄の酸化状態にかかわる変化で、黄が濃くなります加熱された石も非加熱の石も市場にあります。当店の23本のうち19本は非加熱です
ピンク・パープルピンクはクロム(Cr)による色です。ただし高すぎる温度はクロムに関係する吸収を壊したり変えたりすることがあり、ブルーほど結果が読めません石によります。当店のパープル11本のうち10本、ピンク16本のうち9本が非加熱です
バイオレットバナジウム(V)による色が、青またはピンクの方向へ動きます当店の13本のうち12本が非加熱と開示されています
パパラチアピンクとオレンジの繊細な釣り合いは、クロムと鉄の特定の相互作用によるもので、熱にとても敏感です。加熱するとその釣り合いが崩れます上質なものは非加熱が多く、市場もそこを鑑別書で確かめた石に上乗せを払います。ただしパパラチアという名前が指しているのは色であって、処理の有無ではありません。LMHC(Laboratory Manual Harmonisation Committee)の定義は、淡いピンクがかったオレンジからオレンジがかったピンクまでの色域を指し、拡散処理・放射線処理・染色・コーティングは除きますが、通常の加熱は除いていません。ですからこの色域の加熱された石をパパラチアとして売る業者もあります。処理の状況は名前からではなく、鑑別書か売り手の開示で確かめてください。なお当店にパパラチアの在庫はありません
スターサファイアスターをつくっているルチルのシルクが溶け、効果そのものが失われます当店の4本はいずれも非加熱と開示され、4本ともGIA鑑別書が付いています

色ごとの発色の仕組みそのものはサファイアの色の仕組みで扱っています。ジョーティッシュ(インド占星術)用のイエローサファイアは非加熱が要件になりますので、ジョーティッシュ用サファイアの買い方もあわせてご覧ください。光源で色が動く石についてはカラーチェンジサファイアとはを、パパラチアの色の定義についてはパパラチアサファイアガイドをどうぞ。

透明度に何が起きるのか

シルクが溶けるということ

ルチルのシルクは、二酸化チタン(TiO₂)の細い針状結晶です。コランダムが育つ過程で内部に生じ、結晶の六方対称にしたがって60度ずつ、三つの方向に並びます。この針が光を散らすので、多ければ石は白っぽく曇ります。およそ1,200℃を超えるとこの針が溶け戻り、透明度が上がります。日本のGSTVの宝石講座も、加熱によってシルク・インクルージョンが溶かされ透明度が増すと説明しています。

溶けたシルクは痕跡を残します。鑑別機関が加熱の判定に使うのは、主にこの痕跡です。

  • 針が周囲の結晶と交わっていた場所に残る、小さな円盤状の内包物
  • その産地とタイプからしてシルクがあるはずの石なのに、無傷のシルクが見当たらないこと

これらはGIA、Gübelin、SSEFが処理の判定に用いる主要な顕微鏡的証拠です。内包物の読み方そのものはサファイアのインクルージョンの読み方で扱っています。

割れの中に残るもの|「残留物質」と「透明物質の充填を認む」

フラックスを使った加熱では、表面に達した割れの中に物質が残ることがあります。これは日本語の記事でいちばん誤解されている部分なので、書き分けを整理しておきます。

GIAの鑑別書には Residues consistent with heat treatment in fractures(割れの中に加熱処理に伴う残留物質が認められる、という記載)と書かれます。国際的な鑑別機関は、その量を大・中・少量の三段階に分けて残留物質という表現で記載します。日本の鑑別機関では「透明物質の充填を認む」と印字されます。同じ状態を、別の言葉で書いているだけです。どちらか一方だけを見て「日本の鑑別書のほうが厳しい」「海外の鑑別書のほうが甘い」と読むのは間違いです。

なお、これは油や樹脂を石に入れる含浸とは別のことです。含浸は透明度を上げるために外から物質を入れる処理で、加熱の副産物ではありません。当店は含浸や割れ埋めをした石を扱いません。

そしてもう一つ、およそ1,600℃を超えると表面に達した割れそのものが部分的に癒着します。割れの面が焼結してつながり、割れが見えにくくなります。

加熱処理でも変わらないもの

加熱処理を「石を作り替える工程」だと思っている方が多いので、変わらないもののほうを並べておきます。

  • 鉱物としての素性。天然コランダムは、加熱しても天然コランダムです。
  • 結晶構造。コランダムの六方晶系の構造は、商業的な処理温度では変わりません。
  • 化学組成(Al₂O₃)。ただしベリリウム拡散加熱処理は組成を変えます。あれは根本的に別の処理です。
  • 産地。加熱されたセイロンサファイアは、やはりセイロンサファイアです。
  • 硬度と日常の耐久性。モース硬度9のままです。

そして、開示されているかぎり、加熱処理された石は合成でも偽物でも不当表示でもありません。GIAやGübelinの鑑別書には必ず記載されます。色の安定性についても、GSTVの宝石講座は加熱後の色は通常きわめて安定していて退色することはないと書いています。非加熱と加熱の違いを表で見比べたい方は加熱と非加熱の比較ページもどうぞ。

ベリリウム拡散加熱処理は、加熱処理とは別のものです

ここは混同されやすいので、短く区切って書きます。加熱処理は、すでに結晶の中にある鉄・チタン・クロムなどを動かすだけです。ベリリウム拡散加熱処理は、外から新しい元素を石の中に入れます。ベリリウムを含む材料に石を接触させたまま熱し、ベリリウム原子を結晶の外側の領域まで拡散させて、発色の仕組みそのものを変えてしまう処理です。もともと色の質を持たない石から、鮮やかなオレンジや黄色、パパラチアに似た色をつくり出します。

温度は1,700℃を超えるあたり、加熱処理の温度帯(1,000〜1,800℃)の上のほうで行われます。見た目でもルーペでも分かりません。判定にはLA-ICP-MSによる微量元素分析が必要で、GIAとGübelinはサファイアの標準的な分析の一部としてこれを検査しています。この処理を受けた石は、模倣している天然色に対して非常に大きく減価します。

当店はベリリウム処理された石を販売していません。検査のこと、鑑別書の読み方、そして日本の鑑別書に印字される「検査はしていません」という一文については、ベリリウム拡散加熱処理の解説で詳しく扱っています。

鑑別機関はどうやって加熱を見分けるのか

GIA、Gübelin、SSEFは、一つの検査ではなく複数の手法を組み合わせてサファイアが加熱されたかどうかを判定します。

手法何が分かるかどこが使うか
顕微鏡観察(暗視野・明視野・斜光照明)ルチルのシルクの健全さ、内包物のまわりの応力の痕、フィンガープリントの性状、溶解の産物すべての鑑別機関
ラマン分光内包物の鉱物種を正確に特定できます。ジルコン、ルチル、方解石などを確認しますGübelin、SSEF。設備の整ったラボ
LA-ICP-MS微量元素分析微量元素の正確な濃度。主に産地の判定と、ベリリウム拡散の検出に使われますGübelin、SSEFは標準。GIAは依頼に応じて
紫外線蛍光処理も産地も蛍光の出方に影響します。非加熱のスリランカ産サファイアには特有の蛍光の特徴があります補助的に各機関

結果はGIAの鑑別書に No indications of heating(加熱の痕跡は認められません)か Indications of heating(加熱の痕跡が認められます)として記載されます。前者は検査した時点で加熱の痕跡が検出されなかったという記録であって、加熱されたことがないという保証ではありません。この違いは非加熱サファイアとはで詳しく分けて書いています。鑑別書の一行ずつの読み方はGIAサファイア鑑別書の見方を、蛍光そのものについてはサファイアの蛍光性をご覧ください。

GIA、Gübelin、SSEF、AGLといった主要な鑑別機関は、いずれも処理を鑑別書に記載します。(ここでのAGLは海外の鑑別機関を指します。日本の一般社団法人 宝石鑑別団体協議会(AGL)とは別の組織です。)

加熱処理された石は、価値が下がるのか

下がります。ただし「安物になる」という意味ではありません。たとえば当店の1.50ctの加熱処理されたイエローサファイア(ラウンドブリリアントカット、スリランカ産、GIAレポート#1246017783)は$1,200.00(米ドル)です。同じ色と大きさで非加熱・GIA鑑別書付きとなれば、まったく別の価格帯になります。差がどれくらいかを、条件ごとに並べます。

石の条件加熱処理された石の価格帯(1カラットあたり)非加熱の上乗せ
上質なスリランカ産ブルー、1〜2カラット、GIA鑑別書付き$1,500〜$4,000同等の非加熱で2〜4倍
上質なスリランカ産ブルー、3カラット以上、鮮やか$3,000〜$8,000同等の非加熱で4〜8倍
上質なピンク、1〜2カラット$800〜$2,500同等の非加熱で2〜5倍
ジョーティッシュ向けのスリランカ産イエロー、2カラット以上$300〜$800鑑別書付きの非加熱で2〜5倍

上記の数値はおおよその市場の目安であり、確定した見積もりではありません。実際の価値は処理・産地・色・カット・透明度・鑑別書の有無によって変わります。

一般則としては、上質な石で2〜5倍、大きく鮮やかで書類の揃った石では8倍まで上がります。8倍は上限であって標準ではありません。表の3カラット以上の行にある4〜8倍という数字は、この一般則と矛盾しません。サイズ別の段の一番上がそこにある、というだけのことです。どちらも当店が使っている数字です。

上乗せの背景にあるのは供給です。スリランカをはじめとする変成岩起源の産地から出る非加熱の原石は、採掘が進むにつれて少なくなってきました。書類の揃った非加熱材料の上乗せは、これまで大きくなる方向で推移しています。

逆から言えば、非加熱が要件になる用途でなければ、よく磨かれた加熱処理の石は同じ色をずっと手の届く値段で見せてくれます。これは妥協ではなく、選択です。

処理の開示|聞けば答えるのが当たり前です

実務上の基準はひとつだけです。必ず聞くこと。まともな売り手なら、扱っているどの石についても処理の状況を答えられます。答えられない、あるいは答えをはぐらかす売り手からは買わないでください。

当店が適用している目安はこうです。2カラットを超える石、およそ$2,000を超える石には鑑別書。そして非加熱として、あるいは特定の産地として売られる石には、値段にかかわらず鑑別書。それより下の価格帯では、実務的な取引ラボの鑑別書がその記載内容についての妥当な裏付けになります。いずれにしても、処理の状況は口頭ではなく書類に書かれているべきです。

当店の在庫でいうと

現在掲載している131本のサファイアのうち、88本が非加熱です。その88本のうち56本にAGCL Gem Labの鑑別書、29本にGIAの「加熱の痕跡は認められません」という記載のある鑑別書が付きます。3本には鑑別書がまったく付いておらず、商品ページにそう書いています。

GIAは国際的な基準です。AGCL Gem Lab、FGL、コロンボ宝石学院(GIC)は当店が直接取引しているスリランカの実務的な鑑別機関で、その色と処理の判断について当店は責任を持ちます。Gübelin、SSEF、Lotusの鑑別書が付いた石は現在ありません。

加熱処理された石の例。2.05ctのブルーサファイア(ラディアントカット、スリランカ産、GIAサファイア原産地レポート#5242032116)が$3,690.00。1.16ctのイエローサファイア(エメラルドカット、スリランカ産、GIA鑑別書付き)が$702.00。どちらも加熱処理と明記しています。

非加熱の石の例。1.21ctのイエローサファイア(ラウンドカット、スリランカ産)は、AGCL鑑別書#M256723に「Unheated — no indication of heating」と記載があり、$1,210.00です。1.20ctのパープルサファイア(オーバルカット、スリランカ産)は、GIAサファイア原産地レポート#2241032044の記載が「No Indications of Heating」で、$1,200.00です。この二枚の紙の書き方の違いが、そのまま二つの鑑別機関の作法の違いです。

書類のない石も、あります。1.42ctのホワイトサファイア(ラウンドカット、スリランカ産)は無処理ですが鑑別書が付いておらず、$725.00です。1.50ctwのティールサファイアのペアも非加熱で、鑑別書は付かず、$1,350.00です。書類のない石は、書類がないと書きます。ここを曖昧にすると、書類のある石の価値まで薄まるからです。

上記の数値はおおよその市場の目安であり、確定した見積もりではありません。実際の価値は処理・産地・色・カット・透明度・鑑別書の有無によって変わります。

手のひらに載せたスリランカ産のサファイア

よくある質問

サファイアの加熱処理とは何ですか

天然のコランダムを管理された炉に入れ、1,000℃から1,800℃のあいだの温度で熱して、色か透明度、あるいはその両方を改善する工程です。結晶の中にもとからある元素の並びと内包物の状態を動かすもので、外から何かを加える処理ではありません。効果は永続的で、主要な鑑別機関はいずれもこの処理を受け入れていますが、商取引では必ず開示されなければなりません。

加熱処理は何のために行うのですか

色を濃くすること、余計な色味を取ること、そして透明度を上げることの三つです。ブルーサファイアでは鉄とチタンが再配置されて青が深まり、灰色に見せていた吸収が減ります。同時に、光を散らしていたルチルのシルクが溶けて石が澄みます。もともと持っている色を引き出す工程であって、持っていない色をつくる工程ではありません。

サファイアの加熱処理は何度くらいで行うのですか

1,000℃から1,800℃のあいだです。この範囲のどこか一点が標準だというものはなく、石と狙う変化によって使い分けられます。目安として、およそ1,200℃を超えるとルチルのシルクが溶け戻りはじめ、およそ1,600℃を超えると表面に達した割れが部分的に癒着します。1,800℃を超える領域はコランダムの融点に近づいて石が傷む可能性が高く、サファイアの商業的な加熱には使われません。

加熱されたサファイアはどうすれば見分けられますか

確実な方法は鑑別書だけです。GIA、Gübelin、SSEFの鑑別書に「No indications of heating(加熱の痕跡は認められません)」か「Indications of heating(加熱の痕跡が認められます)」のどちらが記載されているかを見てください。鑑別機関は顕微鏡観察、ラマン分光、微量元素分析、紫外線蛍光を組み合わせて判定しています。ルーペで内包物を見るだけでは、確実な結論は出せません。

加熱処理された石は非加熱の石よりどれくらい安いのですか

上質な石で、非加熱のほうが2〜5倍という上乗せになります。大きく鮮やかで書類の揃った石では8倍まで上がりますが、これは上限であって標準ではありません。条件別では、1〜2カラットの上質なスリランカ産ブルーで2〜4倍、3カラット以上では4〜8倍、上質なピンクとジョーティッシュ向けのイエローで2〜5倍というのが当店の見方です。

市場に出るサファイアのどれくらいが加熱処理されているのですか

推定で、商業的に流通するサファイアの90〜95%です。ブルーに限ると、商業流通しているもののおよそ95%が加熱処理された石になります。ですから鑑別書の付いた非加熱の石は、標準ではなく例外のほうだとお考えください。当店の在庫では131本のサファイアのうち88本が非加熱ですが、これは当店の棚の話であって、市場全体の割合ではありません。

宝石の処理は開示する義務がありますか

あります。GIAの日本語の解説は、宝石を販売する者は施された処理法を開示する必要があり、それは法的な義務であると明記しています。国際有色石協会(ICGA)をはじめとする業界団体も、商取引における加熱処理の開示を求めています。日本ではかつて処理を三つの区分で表示していましたが、現在は具体的な処理名を鑑別書に記載する方向に変わっています。

加熱・非加熱で探す

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