
- 著者:Ahmed Shareek
サファイアの婚約指輪のお手入れ|洗い方・保管・避けるもの
- 著者:Ahmed Shareek
これから石をお選びになる方は、婚約指輪のサファイアの選び方からお読みください。石そのものについては天然ルースサファイアの購入ガイド。お手元の石の処理内容を確かめたい方はGIA サファイアレポートの読み方をご覧ください。
毎日身につけるサファイアの婚約指輪には、見た目を保つための手入れと、石をしっかり留めておくための手入れが必要です。サファイアはモース硬度 9 で、ひっかき傷と摩耗にはよく耐えます——そしてひっかき傷と摩耗に対する強さは、モース硬度が測っているもののすべてです。コランダムに劈開はありませんが、壊れない石ではありません。裂開(英語でいう parting)があり、強く直接ぶつければガードルや尖った部分が欠けることがあり、加熱処理を受けた石は治癒した割れ目を抱えていることがあります。実際に手入れを要するのは、石よりも地金のほうです。だからといって石が無敵になるわけではなく、このあとに書くことの多くは、硬いものにぶつけないという話です。
当店の経験では、サファイアの指輪がくもって見える理由は、石が傷んだからではありません。石けんの膜、皮脂、化粧品やハンドクリームの残りが石の裏側とパビリオンのファセットに積もり、同時に石枠の地金がすこしずつ緩んで、そのまま見過ごされている——このふたつです。どちらも、ふだんの手入れでほとんど防げます。
このページの指示は、そのほとんどが条件つきです。そして条件は、指示が書いてある場所と同じ場所に書いてあります。脚注にも、ページの末尾にもまとめていません。理由は単純で、条件を読み飛ばして指示だけを持ち帰ると、それ自体としては正しい指示で指輪を傷めることになるからです。洗い方の節は「どういう石と石枠を前提にしているか」から始まり、そのあとに当てはまらない場合を太字で並べ、最後に迷ったときの慎重なやり方を書いています。この順番は、読みやすさのための工夫ではなく、内容そのものです。
もうひとつ、はじめにお断りしておきます。当店は米国から天然のルースサファイアをお送りしている店で、日本国内に宝飾の工房を持っていません。ですから、どの工房が何を引き受け、工賃がいくらで、どれくらいの期間がかかるかについて、当店は何も申し上げません。調べた記録を持っていませんし、持っていないことを書けば、それこそ裏づけのない表示になります。このページで日本の作業の名前を挙げているのは、お客様がカウンターで使える言葉をお持ちいただくためであって、どこかの工房のやり方を紹介しているわけではありません。
このページでは、当店が実際にしている洗い方、避けるもの、保管、指輪を外す場面、石枠の点検、石枠の種類ごとの手入れ、書類の話、そして日本の法律のもとでこのページに何が書けるのかを、順に扱います。
手入れの話に入る前に、サファイアの性質が何を約束しているのかを、はっきりさせておきます。硬さと靭性は別のものです。硬さはひっかき傷と摩耗に対する強さで、モース硬度が測っているのはそれだけです。靭性は割れ・欠け・ひびに対する強さで、モース硬度はそれについて何も言っていません。サファイアは前者でとてもよい成績を出し、後者について無敵ではありません。
モース硬度は、ある鉱物が別の鉱物にひっかき傷をつけられるかどうかを順に並べた尺度です。順位であって、目盛りの間隔が等しい数直線ではありません。そしてここが大事なところですが、この尺度は「どのくらいの力で割れるか」を測っていません。割れ方の話は靭性で、靭性は別の性質です。
当店の商品ページでは、GIA のレポートに印字された硬度の値を載せるときに、かならずこの範囲の限定を添えています。数字だけを置くと、読む側はそれを「丈夫さの総合点」として受け取ってしまいます。モース硬度 9 は総合点ではありません。ひとつの性質についての、ひとつの順位です。
宝石が欠ける話をするとき、日本語でも二つの言葉を分けて使う必要があります。
劈開は、結晶が決まった面に沿ってすっと割れる性質です。コランダム(サファイアとルビーの鉱物名)に劈開はありません。ここまでは、よく書かれていることです。
書かれていないのはこのあとです。コランダムには裂開があります。英語の鉱物学では parting と呼ばれ、日本語の定訳が広く定まっていないので、当店はこのページで「裂開(parting)」と書き、意味を添えて使います。双晶の面や、シルクと呼ばれる針状の内包物が並んだ面に沿って、面としての弱さが生じる現象です。劈開のようにどの石にも必ずある面ではありませんが、ある石にはあります。
実務上の意味はこうです。「コランダムに劈開はない、だから割れない」は誤りです。この言い方は日本語でもよく見かけますし、このページも改訂前には「事実上壊れない」と書いていました。欠け(chip)と割れ(fracture)は別のことで、裂開(parting)は、サファイアがガードルで、尖った部分で、そしてカボションの薄い縁で欠ける理由のひとつです。硬さがいくらあっても、この三か所が守られるわけではありません。
当店は、このページに鉱物の硬さを並べた順位表をつくりません。「ダイヤモンドに次ぐ硬さ」という書き方もしません。理由は謙虚さではなく、その書き方が事実として崩れるからです。
モアッサナイトのモース硬度は 9.25 で、これは GIA が公表している値です。サファイアは 9 です。つまり「ダイヤモンドに次ぐ」は、婚約指輪に実際に使われている材料を一つ数え落としています。そして順位表というものは、どの性質を基準にするか、どの材料を表に入れるかで、いくらでも並びが変わります。順位を禁じられた言い方で書かないことと、表の形にして載せないことは、同じ一つの決まりです。文字列を避けて表に組み替えても、読む側が受け取るものは同じです。
このページの下の表は、材料を並べた表ではなく、性質を並べた表です。ダイヤモンドとモアッサナイトが出てくるのは保管の話のなかで、「サファイアより硬いので傷をつける」という、読む人が実際に使える形です。序列としては出てきません。
| 性質 | コランダム(サファイア)について言えること | 毎日の着用にとっての意味 |
|---|---|---|
| モース硬度 | 9。モース硬度が測っているのは、ひっかき傷と摩耗に対する強さだけです | 日常の接触によるひっかき傷と摩耗にはよく耐えます。そこから「石は傷まない」は出てきませんし、「ほかに硬いものはない」も出てきません |
| 靭性 | 鑑別機関が一つの石について公表している尺度はありません。当店は数字を置きません | 数字が期待される欄ですが、置ける数字がないので置きません。硬度の数字を靭性の代わりに読まないでください |
| 劈開と裂開 | 劈開はありません。ただし裂開(parting)はあります——菱面体の面、双晶の面、シルクの面に沿って | ほかの宝石のように決まった面でぱきりと割れることはありません。裂開は、ガードル・尖った部分・カボションの薄い縁で欠ける理由のひとつです |
| 耐薬品性 | コランダムそのものは酸・アルカリ・家庭用の薬剤のほとんどに対してよく耐えます | 石けんや洗剤、化粧品でコランダムが傷むことはありません。含浸・オイル処理・染色された石は別の話で、指輪に一緒に留まっているほかの石もまた別の話です |
| 熱に対する安定性 | 日常の着用で生じる温度の範囲では安定しています | 健全な石にとって、お湯や日常の熱は問題になりません。急な温度変化は別で、液体の内包物や治癒した割れ目、表面に達した割れ目のある石は、それで傷むことがあります |
| 研磨面 | 日常の着用で研磨面をよく保ちます | やわらかい石のようにすぐ曇ることはありません。同じ硬さ以上のものと触れればそれでも傷がつきます——保管の節は、そのための話です |
サファイアの指輪で手入れを要するのは、ほとんどの場合地金です。石枠、爪の先、腕のろう付け部。そこに摩耗が出て、石が失われるのはそこからです。だからといって、石はまったく守らなくてよいわけではありません。石・タイル・鉄に強く直接ぶつければ、ガードルや尖った部分が欠けることがあり、硬さはそれを防ぎません。だからいちばん役に立つ習慣は、握る・ぶつかる・砂をかむ動作の前に指輪を外すことです。
手入れのページに法律の節があるのは、奇妙に見えるかもしれません。ですが日本では、販売者が自分の売る商品について書く手入れの文章は、商品についての表示です。そして表示には、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)がかかります。このページが改訂前に抱えていた問題は、文章の好みの問題ではなく、表示の問題でした。
景品表示法第5条第1号が禁じているのは、商品の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示です。消費者庁のパンフレットは、同じ号のもう一つの柱を「内容について、事実に相違して競争事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示」と印字しています。
ここで働いている仕組みを、順を追って書きます。「このサファイアは事実上壊れません」と書くと、読む側は二つのことを同時に受け取ります。一つは、この石が丈夫だということ。もう一つは、誰かがそれを確かめたということです。後者が事実でなければ、前者は成り立ちません。壊れるかどうかを測った試験がないところに「壊れません」と書けば、それは石の良し悪しの誇張ではなく、検査があったかのように読ませる表示になります。
このページが改訂前に実際に載せていた文のうち、当店が取り下げたものを挙げます。他人の書いたページの話ではなく、このページ自身の記録です。
当店が書かない言葉も、あわせて挙げておきます。品質等級・品質ランク・AAA・最高級・特上・耐久性◯段階。使わない理由は、当店が控えめだからではありません。そういう物差しが存在しないからです。GIA は自ら次のように公表しています——"GIA doesn't grade or provide quality analysis for sapphire or other colored stones." 鑑別機関が色石のグレーディングも品質分析も行っていないのですから、その上に段位を置くことはできません。
景品表示法第7条第2項には、不実証広告規制と呼ばれる仕組みがあります。商品の内容について優良誤認の疑いがある表示について、消費者庁長官はその表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、資料が提出されないか、提出された資料が要件を満たさないときは、その表示は不当表示とみなされます。
提出の期限は短いものです。消費者庁の運用指針(不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針——不実証広告規制に関する指針)は、提出期限を、消費者庁長官が文書で当該資料の提出を求めた日から、原則として15日後と定めています。
そして資料の要件は二つあり、同じ運用指針が「第3 『合理的な根拠』の判断基準」で次のように書いています。
二つ目が、手入れのページでは決定的に働きます。GIA のレポートは、洗い方の表示の裏づけになりません。レポートには洗い方のことが何も書かれていないからです。同じことは点検の間隔についても言えます。何か月ごとに点検を、と書けば、それは間隔についての表示であり、裏づけとして出せるのは間隔を調べた資料でなければなりません。当店はそういう資料を持っていません。書類を持っていることは、その書類が扱っていない主張の裏づけにはならない、ということです。
だからこのページには、点検の間隔の数字がありません。ロジウムメッキの再施工の頻度も、その料金もありません。浸け置きの分数もありません。改訂前のこのページには、そうした数字がいくつもありました。すべて削り、やわらげたのではなく消しました。代わりに書いてあるのは、「ときおり、そして石が動くように感じたときや、指輪を強くぶつけたとき」という形です。これは数字を出し渋っているのではなく、どのくらいの速さで石枠が摩耗するかが、指輪と着ける人によってまったく違うからです。
このページに出てくる数字は、すべて同じ文のなかに出どころを書いています。条文の番号は条文の番号として、造幣局の品位区分は造幣局のものとして、モース硬度は GIA が印字した値として。数字と出どころが離れていると、15日のあいだに探し直すことになります。
最後に、日本で販売する側の義務をひとつ。日本では処理内容の開示は販売者の義務です。当店は処理内容をすべての商品ページに記載しています。手入れの方法がその石の処理によって変わるのですから、処理が書かれていなければ、お客様は正しい手入れを選べません。開示は、このページの指示が使えるようになるための前提です。
ロジウムメッキが擦り切れて下地の金色が見えてきた。プラチナの艶が落ちて、しっとりした表面になった。腕に細かいすり傷が増えた。——こうしたことが起きたとき、お客様が最初に知りたいのは「これは不具合なのか、それとも使えばそうなるものなのか」です。
2020年4月に施行された改正民法は、売主の責任を契約不適合責任という枠組みで定めています。法務省の資料がまとめているところでは、引き渡された目的物が種類・品質・数量について契約の内容に適合しないとき、買主は売主に対して、修補や代替物の引渡しなどによる履行の追完の請求(民法第562条)、代金減額の請求(第563条)、損害賠償の請求および契約の解除(第564条)をすることができます。
この枠組みの要は、状態ではなく時点です。問われているのは「いま不具合があるか」ではなく「引渡しの時点で契約の内容に適合していたか」です。だから、使ったことによって生じた変化は、どれほど目につくものであっても、原則として契約不適合ではありません。逆に、引渡しの時点ですでに薄すぎた爪は、それが問題になるのがあとになってからであっても、引渡しの時点の話です。
通知の期間についても、ひとつ押さえておく点があります。法務省の資料は民法第566条を「買主は、契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨の通知が必要」とまとめています。起算点は引渡しではなく、知った時です。ただし、不適合の種類とおおよその範囲がわかる通知であることが求められ、これとは別に時効の一般の規定がかかります。
ここから出てくる、点検についての唯一の正直な理由がこれです。間隔ではありません——間隔というものはありません。引渡しの前から存在していた仕立ての不具合は、早いうちのほうが、引渡しのころの事実をたどれるぶんだけ示しやすい。それだけです。買ったときの写真、送られてきた状態の記録、最初に気づいたときの日付。これは法律の話がそのまま証拠の話に落ちるところで、証拠はお客様の側で用意できます。
下の表は条文の説明であって、特定の事案についての判断ではありません。同じ所見でも、何がどう売られたかによって答えは変わります。
| 所見 | 一般にどちらの話か | 理由 |
|---|---|---|
| ホワイトゴールドのロジウムメッキが擦り切れて、下地の金色が見えてきた | 通常の使用による変化 | メッキは摩耗する層です。摩耗しない層として売られていたのでなければ、摩耗したこと自体は引渡しの時点の不適合ではありません |
| プラチナの表面の艶が落ちて、やわらかい質感になった | 通常の使用による変化 | プラチナは使ううちに表面の艶が変わります。磨き直せば戻ります |
| 腕と石の裏に細かいすり傷が増えた | 通常の使用による変化 | 日常の接触によるものです。保管の節は、この速さを落とすための話です |
| 引渡しの時点で、すでに爪が薄く削られていた | 契約不適合の可能性 | 使って減ったのではなく、最初からその厚みだったのなら、引渡しの時点の話です。だから引渡し時の記録が効きます |
| 腕のろう付けが施されていない、または芯が通っていない | 契約不適合の可能性 | 仕立ての問題で、着用で生じるものではありません |
| 表示されていた処理と、実際の石の処理が違う | 契約不適合 | 品質が契約の内容に適合していません。これが、処理をすべての商品ページに書いている理由です——書いていなければ、何に適合すべきかが決まりません |
| 落として、ガードルに欠けができた | どちらでもありません | 着用による摩耗でもなく、引渡しの時点の不適合でもありません。修理の相談であり、場合によっては保険の相談です |
| 石が外れて失われた | 保険の領域 | 外れた原因が仕立てにあるのか摩耗にあるのかは別の問いで、どちらにしても紛失そのものは売買の責任の話とは別の枠組みになります |
手入れのページには、もう一方の側があります。売る側が「どんな不具合についても一切責任を負いません」と書けるのかという問いです。書けません。
消費者契約法第8条第1項は、「次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする」として、その第1号に「事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項」を挙げています。責任を全部免除する条項は無効であり、責任があるかどうかを事業者が決めるという条項も無効です。同条第3項は、重大な過失以外の過失にのみ適用されることを明示していない一部免除の条項を無効とします。
そして第10条は、民法その他の法律の任意規定の適用による場合に比べて消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」を無効とします。信義誠実の原則に反して一方的に不利益な条項は、書いてあっても効きません。
この節は条文の内容を紹介しているだけで、法律の助言ではありませんし、どなたの事案についても判断していません。お手元の指輪について具体的な争いがあるときは、お買いになった相手にまず書面で伝え、それでも解決しないときは、お住まいの自治体の消費生活センターか弁護士にご相談ください。
手入れと返品が交わるところがあります。買って最初の数日に、何をしてよくて何を後回しにすべきか、という話です。そして日本の決まりは、海外の通販でよく見る「◯日以内のクーリング・オフ」とは形が違います。
国民生活センターは、はっきりこう書いています——「インターネット通販やテレビショッピングなどの通信販売には、法律上のクーリング・オフ制度はありません。」クーリング・オフは訪問販売や電話勧誘販売のための制度で、通信販売にはありません。国民生活センターがこれをわざわざ書いているくらいですから、最初に置いておきます。
通信販売にあるのは別の規定です。消費者庁の特定商取引法ガイドは、特定商取引法第15条の3について「その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます。」と説明しています。
そしてすぐ続けて、こう書いています——「もっとも、事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回や解除につき、特約を表示していた場合は、特約によります。」インターネット通販については、最終確認画面での表示も求められています(法第15条の3ただし書、省令第44条)。
ここが、この節がこのページに載っている理由です。日本では、表示された返品特約が法定の8日間を置き換えます。つまり当店の返品方針は、法律の定める期間の上に乗っている説明ではなく、それ自体が効力を持つ文書になります。
当店の返品方針は次のとおりです。これは当店の方針の引き写しであって、法律の助言ではありません。
米国内は送料無料です(金額の条件はありません)。その他の国は一律 $60、$499 を超えるご注文は無料です。すべてのご注文に 14 日間の返品期間がございます。
返品の送料の扱いと、返品の対象外になるものについては、当店の返品・返金ポリシーをご確認ください。特注品やお客様仕様で製作した品物は扱いが違います。ここで書いておきたいのは、当店の方針に書いてあることよりも強い主張を、当店はこのページでしないということです。オーダーの指輪について「返品はいっさいできません」と断定すれば、それは当店自身の方針が書いていることより強い主張になります。
これは手入れの話です。返品できる期間のうちは、品物の性質と状態を確かめるための行為と、品物を使ってしまう行為のあいだに線があります。手入れの動作のうち、いくつかは後者の側に落ちます。
並べ替えると簡単です。確かめる動作は、どれも乾いた手と目でできます。水と機械と工房が出てくる動作は、決めたあとの話です。この順番は法律の助言ではなく、返品のある品物についての常識です。ですがこのページには洗い方の節があり、そこには超音波洗浄機の話も出てきますので、決める前の数日については先に書いておきます。
このあとに書くことはすべて、指輪に入っている石がサファイア、ダイヤモンド、モアッサナイトのいずれかで、腕が金かプラチナであることを前提にしています。ほかのものが入っているなら——真珠、オパール、エメラルド、ターコイズ、そして「何の石かわからないもの」——ここで止まって、実物を見られる人に尋ねてください。
浸け置きとブラシは、サファイアには安全で、サファイアの隣に留められることの多い石のいくつかには安全ではありません。そして一度の浸け置きで起きたことは、元に戻りません。
この節で真珠を最初に置いているのは、市場の統計からではありません。真珠層とブラシの関係が、この表のどの行よりも単純で、しかも起きてしまえば戻らないからです。
| 指輪に入っていると困るもの | 何が起きるか | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 真珠 | 真珠の表面は真珠層で、やわらかく、ブラシで擦れます。石けん水に浸けると光沢が変わることがあります。そして指輪の真珠は、芯(ポスト)に接着剤で留められていることがあります——お湯はその接着剤を緩めます | 浸けない。ブラシを当てない。やわらかい布で乾拭きし、汗や化粧品がついた日はよく絞った布で拭いてから乾かす。超音波洗浄機とスチーム洗浄は使わない |
| オパール | 多孔質で、水を吸います。吸ったあと急に乾けば、細かいひびが入る(クレーズ)ことがあります | 浸けない。急に乾かさない。湿った布で軽く拭き、自然に乾かす |
| エメラルド | エメラルドは割れ目にオイルや樹脂を含浸させることが一般的で、LMHC もエメラルドの割れ目への含浸について情報シートを公表しています。浸け置きや溶剤は含浸材を抜き、抜けたあとは割れ目がそのまま見えます | 浸けない。溶剤を近づけない。乾いた布で拭く。洗いが必要なら、実物を見られる人に任せる |
| ターコイズ | 多孔質で、水と油を吸います。樹脂で安定化されているものもされていないものもあり、どちらかは見ただけではわかりません | 浸けない。乾いた布で拭く。わからないときは、わからないことを前提に扱う |
| 接着された部材・ダブレット(貼り合わせの石) | 接着層が水とお湯と溶剤に弱く、剥がれると白く濁って見えます | 水に入れない。アセトンを近づけない。乾いた布だけにする |
| 銀の腕、メッキの腕 | 銀は硫化して黒ずみ、メッキは薄い層なので、浸け置きと研磨で地が出ます | 浸けない。銀用の布で軽く拭く。メッキのものは研磨剤を使わない |
| 裏が閉じた石枠(覆輪やフクリンの密閉底) | 水が入って抜けず、石の裏側に溜まったままになります。石そのものは平気でも、閉じた空間に水が残るのは避けたいところです | 洗ったら完全に乾かす。乾かし切れない作りなら、水を使わない。湿気の多い時期は、完全に乾いたと確かめてからしまう |
| パヴェ・マイクロパヴェのメレ | 小さい石は留めの余裕が小さく、繰り返す振動で緩みます。緩んでから落ちるまでが短いのが、大きい石との違いです | ブラシはやさしく。石枠を見てもらうまで超音波洗浄機は使わない。石の素材が何かも、浸ける前に確かめる |
腕のことも忘れないでください。自分の指輪が何でできているかわからないなら、それ自体が答えです。水に入れる前に調べてください。刻印の節に、何が刻まれているかの読み方を書いています。
無処理または加熱処理のサファイアが、健全な金またはプラチナの石枠に単独で留まっている場合、当店がしている方法は、ぬるい水、中性の食器用洗剤を少し、そしてやわらかいブラシです。手順は下に書いたとおりです。
この方法が当てはまらないのは、次の場合です。
これらの場合は、すぐ上の「洗う前に」の節と、下の「割れ目に含浸された石、空洞を埋められた石、染色された石、オイル処理された石」の項で扱っています。そして慎重なやり方は、どの場合でも同じです——浸けない。ブラシを当てない。冷たすぎない水で短く流す。そして実物を手に取れる人に尋ねる。ぬるい石けん水は、どんな場合にも使える安全な標準ではありません。
どのくらいの間隔で:くもって見えたとき、あるいは膜が見えたときに洗ってください。毎日つける指輪では、それはかなり頻繁ということになります。守るべき予定表はありませんし、当店はそれをつくりません——石が教えてくれます。洗えば明るさがそのまま戻ってくることがほとんどで、それはくもらせていたものがほぼ常に残留物だからです。
超音波洗浄機は、液体のなかに高い周波数の音波を通して、表面から汚れを剥がす機械です。家庭用のものも、工房に据えられているものもあります。
GIA はこれについて自らの見解を公表していて、当店はそれを言い換えずに引用します。超音波洗浄とスチーム洗浄は "usually safe for untreated, heat-treated, and lattice diffusion treated stones" である、と。GIA が名前を挙げているのは、無処理の石、加熱処理された石、そしてラティスディフュージョン処理(格子拡散処理)を受けた石の三つです。そして別の文で、割れ目に含浸された石、空洞を埋められた石、染色された石を除いています。英語の原文が GIA の述べたことで、いまの一文は当店による説明です。日本語の訳文を GIA の引用として示すことはしません。
当店は二か所で GIA より慎重です——シルク(針状の内包物)が残っている非加熱の石と、スターサファイア。当店がこれをはっきり書いておくのは、当店の慎重さが GIA の見解であるかのように読まれるのを避けたいからです。GIA はどちらについても超音波洗浄を認めています。下に書く当店の好みは、当店がこれらの石を扱ってきたなかでの好みであって、どこかのレポートに記された注意ではありません。それから、誰かが石の留まり具合を確かめる前に指輪を超音波洗浄機に入れることは、当店としてはお勧めしません。
| 石と石枠の状態 | 超音波洗浄機は使えるか | 備考 |
|---|---|---|
| 無処理または加熱処理のサファイアで、石がしっかり留まっており、表面に達した割れ目がない | 使えます——これは GIA が公表している見解です | この二つの区分は、GIA 自身の一文のなかに名前が挙がっています |
| ラティスディフュージョン処理(格子拡散処理)を受けたサファイア | 使えます——GIA はこの区分も名前を挙げています | GIA の同じ一文のなかです。よその店からいらした指輪では関係してきます |
| シルクが残っている非加熱のサファイア | 当店は手で洗います——当店の方針で、GIA の見解ではありません | GIA はここで超音波洗浄を認めています。当店はそうしないほうを選んでいて、その選択は当店のものです |
| スターサファイア(カボション) | 当店は手で洗います——当店の方針で、GIA の見解ではありません | これも当店のもので、どこかのレポートの注意ではありません。カボションの縁は薄く、そこを振動させたくないからです |
| 表面に達した割れ目のあるサファイア | 使えません | 超音波の振動は、すでにある割れ目を広げることがあります |
| 内包物の多い石 | 使えません | 表面に達している、あるいは達しかけている内包物は、割れ目と同じ危うさを持ちます |
| 割れ目に含浸されたサファイア(鉛ガラス含浸など) | 使えません——GIA はこの区分を除いています | 超音波は含浸材を動かしたり白く濁らせたりします |
| 空洞を埋められたサファイア | 使えません——GIA はこの区分を除いています | GIA の同じ一文のなかに名前が挙がっています |
| 染色されたサファイア | 使えません——GIA はこの区分を除いています | GIA の同じ一文のなかに名前が挙がっています |
| オイルや樹脂を含浸させた、種類を問わない石 | 使えません | 洗うことで含浸材が抜け、あるいは濁ります。エメラルドがその代表で、エメラルドはサファイアの隣に実際に留められます |
| 真珠、オパール、エメラルド、ターコイズが入っている品物 | 使えません | 上の「洗う前に」をご覧ください |
| 爪が緩んでいる、または誰も石を見ていない | 使えません——先に石枠を見てもらってください | 超音波は、緩んだ石枠から石を振り落とすことがあります |
| パヴェ・マイクロパヴェのメレが入っている | 工房で見てもらうまでは使えません | パヴェの小さい石は、超音波を繰り返すうちに緩むことがあります |
迷ったときは、浸けないでください。ブラシも当てないでください。冷たすぎない水で短く流し、押さえて乾かして、次に洗う前に実物を見てもらってください。浸け置きが、含浸材・接着層・多孔質の石に届いてしまう工程です。浸け置きを省くことが、慎重なやり方を慎重にしている部分です。
GIA は、スチームを超音波と同じ一文のなかで扱っています。どちらも "usually safe for untreated, heat-treated, and lattice diffusion treated stones" であり、割れ目に含浸された石、空洞を埋められた石、染色された石は別の文で除かれています。原文の usually(たいていは)という語は、そこで効いています。
工房の温度のスチームを冷えた石に当てるのは、急な温度変化です。そして液体の内包物、治癒した割れ目、表面に達した割れ目のある石は、急な温度変化で傷むことがあります——上の表が引いているのと同じ線で、道具が変わったからといって当てはまらなくなるものではありません。
当店自身の方針は超音波のときと同じです。シルクが残っている非加熱の石とスターサファイアは手で洗います。そしてこれは当店の方針であって、どこかのレポートに記された注意ではありません。
スチームは、ぬるい石けん水では届かない残留物に効きます。健全な石が健全な石枠に留まっているなら、工房でしてもらうのは理にかなったことです。家庭用のスチームクリーナーを石枠に向けて当てるのはやめてください。勢いで爪が起きることがあります。
コランダムそのものは薬剤によく耐え、家庭用の洗浄剤がコランダムを攻撃することはありません。ただしこれは、コランダムについての事実であって、お客様の指輪についての事実ではありません。含浸・オイル処理・染色された石では、薬剤はコランダムではなく含浸材に届きます。接着層は溶けることがあります。そしてサファイアの隣に留められる石のいくつかは多孔質です。
金属に留まった素のサファイアについては、危ないのは地金のほうです。下の表は地金についての表です。
| 薬剤・物質 | コランダムへの作用 | 地金・石枠への作用 | 結論 |
|---|---|---|---|
| 塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム) | ありません | 金合金のろう付け部と、金に混ぜられている他の金属を攻撃し、ロジウムメッキを剥がします。壊れ方は、だんだんくすむのではなく、ろう付け部に割れが入ることです——腕や爪がそこで持ちこたえなくなります | 漂白剤を使う前に指輪を外してください。毎回です |
| プールや浴槽の塩素水 | ありません | 漂白剤と同じ化学で、実際にいちばん多く起きる場面です。塩素は金合金のろう付け部に応力腐食割れを起こします。ニッケルを混ぜたホワイトゴールドがもっとも起こりやすく、温かい浴槽はプールより悪い——熱が反応を速めるからです | 泳ぐ前、温かい浴槽に入る前に、毎回外してください。長く入るときだけではありません。これは地金が壊れるリスクで、くすみのリスクではありません |
| アセトン・除光液 | ありません | ロジウムメッキと一部の金の仕上げに影響することがあり、接着された部材やダブレットの接着剤を溶かします | 指輪を外してください。素の地金なら短時間の付着は影響が小さいですが、接着されているものには小さくありません |
| アンモニア入りの洗浄剤 | ありません | ロジウムメッキを曇らせ、荒らすことがあります | 使わないでください。ぬるい水と食器用洗剤を少しで同じ仕事ができますし、アンモニアは、含浸・オイル処理・染色・接着された石の近くに置くものではありません |
| 研磨剤入りの洗浄剤(歯みがき剤、重曹のスクラブ、つや出しペースト) | 無害とは言えません。研磨剤入り・つや出し用のペーストには、含水シリカとアルミナが入っていることがよくあります——そしてアルミナはサファイアと同じ鉱物ですから、サファイアに傷をつけられる硬さを持っています | 地金の仕上げに傷をつけ、曇らせることがあります | 使わないでください。地金についてだけでなく、石についてもです。やわらかいブラシだけにしてください |
| ハンドクリーム・化粧品 | 石には作用しません。ファセットに積もります | ありません | ふつうの残留物です——上の基本の手順は、これを落とすためのものです |
| 強い酸(塩酸、硫酸) | 日常の着用で想定される範囲では作用しません | 地金を深く傷めることがあります | 日常の着用で起きる場面ではありません |
この一行は、改訂で向きが変わったところです。改訂前には「塩素は時間をかけて少し影響する程度」と書いてありました。それは誤りで、しかも危ない向きに誤っていました。
起きているのは応力腐食割れです。三つの条件がそろうと起きます。
毎日つけている指輪は、この三つのうち二つを常に満たしています。三つ目を足すのが、プールと浴槽です。温かい浴槽はプールより悪くなります。熱が反応を速めるからです。
そしてここが、この指示を条件なしにしている理由です。この壊れ方は、前触れを出しません。先にくすむ段階がなく、色が変わる段階もなく、ある日ろう付け部が持ちこたえなくなります。つまり、よく見ていれば気づけるという類のものではないので、観察では防げず、習慣でしか防げません。指輪は、プールの前と浴槽の前に外してください。入っていた時間の長さは関係ありません。
ローズゴールドの指輪では、この行はより強く効きます。ローズゴールドの色は銅から来ていて、銅は黄金やホワイトゴールドに混ぜられている金属より反応しやすいからです。漂白剤の行と塩素の行は、ローズゴールドでは軽くなるのではなく、重くなります。
握る・ぶつかる・砂をかむ——この三つが入る動作では、指輪を外してください。理由は爪と腕と、そして石です。石はひっかき傷には強いのに、強く直接当たれば欠けます。
外さなくてよいこと——手を洗う、料理をする、シャワーを浴びる、文字を打つ、ふだんの机の仕事。どれにも衝撃も砂もありません。泳ぐことと温かい浴槽は別の話で、そこでは外してください——これは塩素と地金の話で、石の話ではありません。上の塩素の行をご覧ください。
サファイアの指輪の保管の決まりは、ひとつだけです。ほかのものと一緒にしないこと。
ダイヤモンド(モース硬度 10)とモアッサナイト(9.25)はどちらもサファイアより硬く、サファイアに跡を残します。そして別のサファイアも跡を残します。同じ硬さ同士は傷をつけ合うからです。モアッサナイトも婚約指輪に使われますから、「ダイヤモンドから離しておく」だけでは決まりの全部になりません。引き出しや袋にまとめて入れておいた石は、触れ合うことで時間をかけて互いの表面に傷をつけます——劇的ではなく、少しずつ積み重なるかたちで。ほかに何もしていないのに研磨面が鈍っていくのは、これです。
| 保管のしかた | 向きますか | 備考 |
|---|---|---|
| ジュエリーボックスの、布張りの仕切りに一つずつ | いちばんよい | 一つずつ分けておけば、石と石が触れません |
| やわらかい袋(ベルベットやマイクロファイバー)に一つずつ | いちばんよい | 旅行に向きます。指輪を孤立させて守れます |
| リングスタンド・リングホルダー | よい | 指輪ごとに一本あるなら、分けて置けます |
| ほかのサファイアの指輪と同じ仕切り | 避ける | 同じ硬さ同士は傷をつけ合います。サファイアどうしも互いに跡を残しますので、分けてください |
| ダイヤモンドやモアッサナイトの指輪と同じ仕切り | 避ける | どちらもサファイアより硬く、少しずつ表面に傷をつけます |
| ほかのアクセサリーと一緒に袋や引き出しへ | 避ける | 硬い石と金具の縁でひっかき傷がつき、硬いものにぶつかります |
旅行のときは、専用のリングケースかクッションの入った袋に入れて、ほかのアクセサリーから離して運んでください。袋のなかでほかの品物と一緒に転がっている指輪は、爪を傷めますし、石が硬いものに当たります。
湿気についてひとこと。湿気の多い時期は、洗ったあとに完全に乾いていることを確かめてからしまってください。とくに裏が閉じた石枠では、水が石の裏に残ります。密閉できる容器に入れるなら、完全に乾いたと確かめてから入れてください。濡れたまま閉じた空間に置くのが、避けたいことです。これは地金についての話で、サファイアそのものが湿気で傷むわけではありません。
これは当店がこれらの石を扱ってきたなかでの、当店自身のお勧めです。留め方について指針を公表している鑑別機関はありませんので、どこかの見解をお伝えしているわけではありません。この節に書いてあることすべてと、下の「石枠の種類ごとの手入れ」の表に、同じことが当てはまります。
ときおり、そして石が動くように感じたときや、指輪を強くぶつけたときに、石枠を見てもらってください。当店は間隔を申し上げません。間隔を言うだけの根拠を持っていませんし、どのくらいの速さで石枠が摩耗するかは、指輪とそれを着ける人によってまったく違います。
見てもらうときに何を見るのかを書いておきます。工房のカウンターで、この言葉で頼めます。
爪は少しずつ摩耗して緩みます。そして緩んだ爪は、何かが失われる前に、目に見えるか、石のわずかな動きとして感じられることがほとんどです——だから見てもらうことに意味があります。石が少しでも動くのを感じたら、誰かが見るまで着けるのをやめてください。
ホワイトゴールドは、パラジウムやニッケルのような白色金属と合金にした金で、通常ロジウムメッキが施されています。メッキは永久のものではありません。擦れる場所——腕の裏側と爪の付け根がふつうそこです——から摩耗して抜け、抜けると下地の金の温かい色が見えてきます。これは通常の使用による変化で、不具合ではありません。メッキの再施工は工房のふつうの仕事で、白い仕上げが戻ります。料金と期間は、お願いする工房にお尋ねください。当店は日本の工房の料金と納期を調べた記録を持っていませんし、どのくらいの頻度で再施工したくなるかも、どれだけ強く使うかによって違いますので、そちらにも数字を置きません。
プラチナは全体が白く、メッキを必要としません。ですから上のメッキの話は、プラチナの指輪には当てはまりません。プラチナは使ううちに表面がやわらかい艶に変わっていき、明るい仕上げがよければ工房で磨き直せます。プラチナの指輪をお持ちの方は、上のチェックリストのメッキの項目を飛ばしてください。
ローズゴールドの色は銅から来ています。銅は黄金やホワイトゴールドに混ぜられている金属より反応しやすいので、上の漂白剤と塩素の行は、ローズゴールドの指輪では軽くなるのではなく重くなります。銀の腕とメッキの腕はまた別の話で、浸け置きには向きません。腕が何でできているかわからないなら、水に入れる前に調べてください。次の節が、その調べ方です。
海外から来た指輪では、まず刻印の読み方を押さえておく値打ちがあります。
日本の品位証明(ホールマーク)は造幣局が運営していて、造幣局自身が「このマークは任意の制度として設けられています。」と書いています。制度は「貴金属製品の製造又は販売をしている事業者の方々からの依頼に応じて」動くもので、「貴金属製品の取引の安定と消費者保護に貢献しています。」と説明されています。
ここから出てくる結論は二つです。ひとつ、造幣局の極印がないことは不具合ではありません。任意の制度なのですから、付いていないものはたくさんあります。ふたつ、指輪の内側の「K18」や「Pt900」という刻印は、作った側が自分で表示したものであって、国が保証したものではありません。
造幣局が金について品位証明の区分として挙げているのは、次のものです。数字は造幣局の区分そのもので、相場ではありません。
| 刻印 | 金の割合 | 手入れにとっての意味 |
|---|---|---|
| K24(999) | 24 分の 24 | やわらかすぎて、石を留める爪には向きません |
| K22(916) | 24 分の 22 | やわらかく、爪が変形しやすい側です |
| K18(750) | 24 分の 18 = 75.0 パーセント | 混ぜ物が 4 分の 1 で、塩素が攻撃するのはその混ぜ物とろう付け部です |
| K14(585) | 24 分の 14 = 58.5 パーセント | 混ぜ物が増えるので、硬くなり、同時に塩素の行がより強く効きます |
| K10(造幣局の区分では 416) | 24 分の 10 = 41.7 パーセント | 造幣局は「417」を「416」と表示します。混ぜ物が半分以上なので、塩素とプールの行はいちばん重く効きます |
| K9(375) | 24 分の 9 | 造幣局の区分に 375 が入っていますので、制度の側で外されている品位ではありません |
| Pt900、Pt950 | 千分率で 900、950 | 造幣局はプラチナについて 4 区分を設けており、900 はその一つです。プラチナはメッキを必要としません |
| Ag925 | 千分率で 925 | 造幣局は銀について 5 区分を設けており、925 はその一つです。銀の腕は浸け置きに向きません |
造幣局は、金の 835・625・500 の区分を 2012 年 4 月に廃止したとも記しています。古い指輪にはそれらの刻印が残っていることがあります。
そしてここで「カラット」という語が二つの意味を持ちます。石のカラットは重さの単位です。地金の「K」は品位、つまり金の割合です。日本語ではこの二つに別の言葉があるので、英語より混ざりにくいのですが、刻印を読むときには意識しておく値打ちがあります。手入れの決まりにすると、こうなります——石のカラットは洗い方について何も決めません。地金の品位は決めます。品位が低いほど混ぜ物が多く、塩素が攻撃するのは金そのものではなく混ぜ物とろう付け部だからです。
当店はこのページを書く前に、日本の修理工房が実際に掲げている言い方を読み、同じ作業に違う名前が付いているのを見たうえで、次のように書くことにしました。以下はどの工房が何を引き受けるかの話ではなく、同じ作業に付く名前の揺れについての話です。修理のメニューを見るときに、どの行が自分の用件なのかがわかるようにするためのものです。
サイズ直しは、このページの主題ではありませんが、二か所で手入れと交わります。
ひとつ。サイズ直しをすると、腕に新しいろう付け部ができます。そしてろう付け部は、塩素の行がいちばん効く場所です。サイズ直しの直後は、プールと浴槽の習慣をあらためて思い出す時期ということになります。
ふたつ。指輪の作りによって、サイズ直しができる幅が変わります。幅の広い腕、腕を一周するメレ(フルエタニティ)、腕に彫りや刻印が入っているもの——どれも直せる幅が狭くなり、まったく直せないこともあります。これは完成した指輪を買うか、石から決めて作るかという段階の話で、そこを知りたい方はルースサファイアと枠付きのリングの違いをご覧ください。
そしてサイズそのものについて、ひとつだけ。日本は号数という独自の体系を使っていて、米国・英国・欧州はそれぞれ別の体系です。ですから「7」という数字は、どの体系で言われたかによってまったく違う指輪を指します。海外とやりとりをするときの決まりは単純です——サイズは裸の数字で伝えないでください。かならず体系の名前を添えてください。当店は換算表をこのページに載せません。換算表は作る側によって少しずつ違い、一行まちがえたときの結果が大きいからです。
石枠の形によって、摩耗のしかたが変わります。下の表についても、同じことが当てはまります。これは当店がこれらの石を扱ってきたなかでの、当店自身のお勧めです。留め方について指針を公表している鑑別機関はありませんので、どこかの見解をお伝えしているわけではありません。そしてこの表は、脇石がサファイア、ダイヤモンド、モアッサナイトのいずれかであることを前提にしています。どれか一つでも別のものなら、先に「洗う前に」をお読みください。
| 石枠の形 | 主な弱点 | 手入れの要点 | 洗うときの注意 |
|---|---|---|---|
| 爪留め(プロング) | 爪の摩耗と曲がり。編み物に引っかかること | ときおり爪を見てもらう。ニットに引っかけないようにする | 洗いやすい——開いた作りなので、どこにも届きます |
| ベゼル(覆輪) | 覆輪の縁が浮くことがある。石の裏が洗いにくい | 指輪を見てもらうときに、覆輪の縁も見てもらう。石の裏は長めに浸ける | 石の裏を洗うのに手間がかかります。浸ける時間を長めに。裏が閉じた作りなら、完全に乾かしてから |
| ヘイロー(取り囲み) | パヴェ・マイクロパヴェのメレが緩むこと | 小さい脇石を見てもらう。見てもらうまで超音波洗浄機は使わない | 洗う面積が増えます。小さい石のまわりはとくにやさしく——そして浸ける前に、脇石が何の石かを確かめてください |
| スリーストーン(三石) | 見るべき石が増え、爪も増える。脇石が別の鉱物のことがある | すべての爪と、両方の脇石を見てもらう | 石の位置が複数あるので、ブラシをていねいに——そして浸ける前に、脇石が何なのかをはっきりさせてください |
| チャネル(レール留め) | レールの壁が摩耗して、石が緩むこと | レールのなかで石が動かないかを見てもらう | レールに沿ってやさしくブラシを。溝に残留物が溜まります |
| テンション(挟み留め) | 腕のばねの力で石を留めているので、その力が緩むことがある | 張力を見てもらう。強い衝撃を避ける——テンションの石は守られていません | 洗いやすい——石がすべて露出しています |
暮らし方に合う石枠の形を選ぶ段階の話は、婚約指輪のサファイアの選び方と婚約指輪に向くサファイアのカットをご覧ください。
色によってサファイアの硬さが変わることはありませんし、上の基本の手順はどの色でも同じです。別に書いておく値打ちのある場合がいくつかあります。
処理の区分を一般論として挙げているのではないことを、はっきりさせておきます。当店の商品データに実際に存在する処理の区分のなかには、照射、割れ目への含浸、空洞を埋める処理、そしてラティスディフュージョン処理(格子拡散処理)が含まれています。当店自身の区分がそうなっているのですから、「サファイアはこういうもの」という形の断定は、当店のデータの側から崩れます。だから手入れの指示も、断定ではなく条件つきになります。
そしてもう一つ、拡散処理という語には紛れがあります。GIA が「たいていは安全」の一文で名前を挙げているのは「ラティスディフュージョン(格子拡散)」です。日本の鑑別書に印字される「ベリリウム拡散加熱処理」はその一種ですが、同じ語で呼ばれる別の操作もあります。商品ページに「拡散」と書かれているのを見て、GIA が挙げた区分のことだと読まないでください。どの操作なのかは、書類の文言そのものを見るしかありません。拡散処理そのものについてはサファイアのベリリウム拡散処理とサファイアの加熱処理の仕組みをご覧ください。
非加熱と無処理の違いも、手入れの前提として一度書いておきます。「非加熱」は加熱についての記述で、「無処理」は加熱以外の処理についても確認されていないという別の主張です。当店は【非加熱】と【非加熱・無処理】を書き分け、鑑別書の有無と発行機関を併記しています。非加熱を無処理と書き換えてはいけません。これは言い換えではなく、別の主張への置き換えです。洗い方にとっては、この区別がそのまま効きます——加熱以外の処理が確認されていない石と、加熱の有無しか記述のない石では、浸け置きの判断が変わるからです。詳しくは非加熱サファイアとは何かをご覧ください。
手入れのページにこの節があるのは、お手元の指輪を持って日本のお店や工房に行くときに、いちばん食い違いが起きるところだからです。ダイヤモンドのカウンターで鑑定書を受け取った経験のある方が、サファイアについても同じものを期待し、受け取れない——これは売る側が出し渋っているのでも、その石に問題があるのでもありません。色石に鑑定書というものがないからです。
日本の書類の区分を、まず書きます。
日本で鑑定書というとダイヤモンドの4Cグレーディングのことです。色石に付くのは鑑別書で、石種・処理の有無・産地などを記載します。海外ではGIA、国内では中央宝石研究所(CGL)の鑑別書が広く信頼されています。ソーティング(ソ付)は鑑別書ではありません。簡易的な結果を記した紙片であり、正式な書類の代わりにはなりません。
| 書類 | 何を記載するか | 色石に出るか | 手入れについて書いてあるか |
|---|---|---|---|
| 鑑別書 | 石種、処理の有無、ときに産地。等級は付けません | 出ます。これが色石の書類です | 書いてありません |
| 鑑定書 | ダイヤモンドの 4C のグレーディング | 出ません。色石には発行されない別の書類です | 書いてありません |
| ソーティング(ソ付) | 簡易的な結果を記した紙片 | 付くことがありますが、鑑別書ではありません | 書いてありません |
| GIA のレポート | 印字された英語の表題で呼ぶのが正確です——GIA Colored Stone Identification Report、GIA Sapphire Origin Report など。総称としては GIAレポート | 出ます。鑑定書ではありませんし、国内の鑑別機関の鑑別書でもありません | 書いてありません |
| 評価額の書類(保険用) | 金額についての意見。鑑別とは別の仕事です | 別に依頼すれば出ます | 書いてありません |
いちばん右の列が、この節の要です。お手入れの方法を書いた鑑別書やレポートは存在しません。石枠を見るのは工房の仕事で、鑑別機関の仕事ではありません。鑑別機関は石が何であるかを調べて記載し、評価額の書類は金額についての意見を述べ、どちらも手入れの計画ではありません。「ラボのお墨付きのお手入れ方法」を差し出す人がいたら、それはその人が考えたものです。
そしてもう一つ、書類の性質について。鑑別書やレポートは、その機関が観察したことを記載する書類です。確認するのでも、保証するのでもありません。GIA のレポートには、GIA 自身の文で "This report is not a guarantee or valuation." と印字されています。
これはリフォームをお考えの方への実務の話です。石が枠に入ってしまうと、同じ内容の書類を取り直すのは簡単ではありません。枠に入った石には、外さなければ測れない項目があります。そして外して戻すだけで、手間がひとつ増えます。石を入れ替える、作り替える、ルースを持ち込んで仕立てる——そのどれであっても、留める前が、いちばん手間の少ない時点です。
国内の鑑別機関としては、中央宝石研究所(CGL)があります。AGT は 2025 年 3 月 31 日に業務を終了しており、新たに依頼することはできません。古い指輪に AGT の鑑別書が付いていることはあります。
当店の石に付いている書類については、範囲をはっきり書いておきます。国際ラボの鑑別書は、すべて GIA のものです。Gübelin、SSEF、Lotus の鑑別書が付いた石は現在ありません。AGCL、FGL、GIC はスリランカの実務ラボで、当店はその内容に責任を持っています。
下の表は、何かが起きてしまったあとの行動です。「しないこと」の列のほうが、たいていは大事です。
| 起きたこと | すること | しないこと |
|---|---|---|
| 石が動くのを感じる | 着けるのをやめて、やわらかい袋に入れて置く。工房で石の留め直しを頼む | そのまま着け続けない。洗わない——浸け置きと超音波は、緩んだ石枠から石を外します |
| 石が外れて、手元にある | 石を別のやわらかい袋に入れ、指輪とは分けて保管する。石と指輪をそろえて工房へ | 接着剤で留めない。接着剤は、あとで正しく留め直すときの邪魔になります。開いた爪を指で押し戻さない——金が疲れて折れます |
| 石が外れて、見つからない | 着ていた服、鞄の底、排水口の受け、掃除機の紙パックを順に見る。見つからなければ、保険の証券と購入の記録を確かめる | 掃除機の紙パックを捨てない。ほかの爪も同じように摩耗している可能性があるので、残っている石枠をそのまま着け続けない |
| 塩素水に入れてしまった(プール、浴槽、漂白剤) | 水で流し、よく乾かし、次に見てもらう機会にろう付け部を見てもらうと伝える | 見た目が変わっていないからといって大丈夫だと判断しないでください。この壊れ方では、見た目が変わらないのが普通です。そしてもう一度入れない |
| 腕が歪んで、丸くなくなった | 外して、工房に「変形直し」として持っていく | 自分で曲げ戻さない。金は曲げ戻すたびに疲れますし、歪んだ腕は石の留まり具合も変えています |
| 含浸された石やエメラルドを、超音波洗浄機にかけてしまった | すぐ止めて、乾かし、明るい光の下で石を見る。濁りや割れ目が見えるようになっていないか確かめ、実物を見られる人に相談する | もう一度かけない。「出てきた割れ目」を自分で何かで埋めようとしない |
| サイズ直しの直後 | 新しいろう付け部ができたことを覚えておく。石の留まり具合も、直したときに一緒に見てもらう | 直したばかりの指輪を塩素水に入れない。力が残っているろう付け部は、応力腐食割れの条件を満たしています |
| ガードルや尖った部分に欠けができた | 着けるのをやめる。欠けた部分は爪に隠れることもあり、隠れなければ研磨の相談になります。工房と、場合によっては保険の相談です | 欠けの縁を磨いてごまかそうとしない。欠けは、そこから先に進むことがあります |
この表は、無処理または加熱処理のサファイアが、金またはプラチナの石枠に単独で留まっている場合のものです。石が含浸・オイル処理・染色されている場合、あるいは指輪にほかの鉱物が入っている場合は、この表は当てはまりません——上の「洗う前に」と、「割れ目に含浸された石、空洞を埋められた石、染色された石、オイル処理された石」の項に戻ってください。
| 動作・製品 | 素のサファイアに安全か | 石枠に安全か | お勧め |
|---|---|---|---|
| ぬるい石けん水とやわらかいブラシ | はい | はい、金とプラチナについては | この場合の、ふだんの方法です |
| 超音波洗浄機 | 石によります——上に引用した GIA の文言をご覧ください。当店はシルクが残っている非加熱の石とスターサファイアを手で洗います | 石がしっかり留まっていることを確かめてからだけです | 先に石枠を見てもらってください。毎回です |
| スチームクリーナー | GIA はスチームを超音波と同じ一文で扱っています(上に引用)。液体の内包物、治癒した割れ目、表面に達した割れ目のある石には向きません | しっかりした石枠なら、はい。家庭用の高圧のものを爪に向けるのは、いいえ | 自宅より、工房でしてもらうほうがよいものです |
| 歯みがき剤・研磨剤入りのペースト | いいえ——研磨剤入りのペーストにはアルミナが入っていることがよくあり、アルミナはサファイアと同じ鉱物です | いいえ——地金に傷をつけます | 使わないでください |
| 塩素系漂白剤・塩素水 | コランダムには作用しません | いいえ——ろう付け部と混ぜ物の金属を攻撃します。壊れ方は急です | 毎回、指輪を外してください。これは地金が壊れるリスクで、くすみのリスクではありません |
| アセトン・除光液 | コランダムには作用しません。接着されているものの接着剤は溶かします | ロジウムメッキと一部の金の仕上げを傷めるおそれがあります | 指輪を外してください |
| シャワー・手洗い | はい | はい | つけたままで結構です。洗う回数が少し増えます |
| ジム・重い物を持つ作業 | ひっかき傷には強いですが、強く当たればガードルや尖った部分が欠けます | 握る力と衝撃で爪が傷むおそれがあります | 指輪を外してください |
| プール・温かい浴槽 | コランダムには作用しません | 塩素は金合金のろう付け部に応力腐食割れを起こします——腕や爪がそこで持ちこたえなくなります | 毎回、指輪を外してください。これは地金が壊れるリスクで、くすみのリスクではありません |
| 料理・下ごしらえ | はい | はい | つけたままで結構です。あとで洗ってください |
| つけたまま眠る | はい | 寝具に引っかかって爪が傷むおそれが少しあります | お好みで。寝具に引っかかるなら外してください |
| 湿気の多い時期にしまう | はい | 裏が閉じた石枠に水が残ります | 完全に乾かしてからしまってください |
ぬるい水に中性の食器用洗剤を数滴入れ、汚れが浮くまで浸けて、やわらかい乳児用の歯ブラシで石のまわりと裏側をそっと磨き、流水でよくすすいで、押さえるように乾かしてください。サファイアの指輪をくもらせているのは、ほとんどの場合これで落ちる皮脂と石けんの膜と残留物です。これは、無処理または加熱処理のサファイアが金属の石枠に単独で留まっている場合の方法です。指輪に真珠、オパール、エメラルド、ターコイズが入っている場合、あるいは石が含浸・オイル処理・染色されている場合は、浸けないでください。実物を見られる人に先に尋ねてください。洗う間隔は、予定表ではなく、くもって見えたときです。
大丈夫です。モース硬度 9 は、日常の接触によるひっかき傷と摩耗によく耐えるということです。ただし壊れない石ではありません。コランダムに劈開はありませんが裂開(parting)はあり、強く直接ぶつければガードルや尖った部分が欠けることがあります。ですから握る動作、ぶつかる動作、砂をかむ動作のときは指輪を外してください。手入れを要するのは石よりも地金のほうですから、ときおり、そして石が動くように感じたときや指輪を強くぶつけたときに、石枠を見てもらってください。
素のサファイアが健全な金またはプラチナの石枠に留まっているなら、問題ありません。水と石けんは、コランダムにも、よくできた地金の仕事にも害になりません。例外を二つ挙げておきます。同じ指輪に真珠やオパールが入っている場合は、つけたままシャワーを浴びないでください。接着された部材やダブレットは、そもそも濡らさないでください。つけたままシャワーを浴びると、石の裏に落とすべき石けんの膜が少し増えます。それだけのことです。
GIA が公表している見解は、超音波洗浄とスチーム洗浄が "usually safe for untreated, heat-treated, and lattice diffusion treated stones" であるということで、別の文で、割れ目に含浸された石、空洞を埋められた石、染色された石を除いています。当店はシルクが残っている非加熱の石とスターサファイアについて GIA より慎重にしていますが、その慎重さは当店のもので、GIA の見解ではありません。どの石であっても、表面に達した割れ目がある場合、内包物が多い場合、石枠が緩んでいる場合、誰も見ていないパヴェの脇石がある場合には、超音波洗浄機を使わないでください。迷ったときは、浸けず、ブラシも当てず、冷たすぎない水で流して、実物を見られる人に尋ねてください。
ときおり、そして石が動くように感じたときや指輪を強くぶつけたときに見てもらってください。当店は間隔の数字を申し上げません。その数字の裏づけになる資料を当店が持っていませんし、どのくらいの速さで石枠が摩耗するかは指輪と着ける人によって違うからです。見てもらうのは、爪の状態、石の留まり具合、ろう付け部、そして石枠全体の摩耗です。爪は少しずつ緩みますし、緩んだ爪は、何かが失われる前に目に見えるか、石のわずかな動きとして感じられることがほとんどです。
当店は色について将来の約束をしません。そして正直な答えには二つの半分があります。ふだんの着用、日光、家庭の温度、洗剤は、コランダムの色に働きかけるものではありませんし、くもって見えるサファイアはほとんどの場合ただ汚れているだけで、色も透明感も洗えば戻ってきます。もう一方の半分はこうです。色の不安定さは、実際にある石には起こります。照射によって生じた色は褪せることがあり、しかもこの不安定さは処理された石だけでなく無処理の石にも起こりますので、処理の欄を見れば排除できるというものではありません。だから特定の石についての答えは、処理内容を記載したその石の商品ページにあり、当店が販売する石について GIA が色の安定性の試験を行っている場合は、GIA 自身が印字した所見をそのまま載せ、それを超えることは書きません。
外してください。ウエイトやバーを握ると、爪の先は時間をかけて曲がっていきますし、硬い面に繰り返し当たることは石枠に効きます。石はひっかき傷には強いのに、欠けないわけではありません。鉄のバーに当たればガードルや尖った部分が欠けることがあります。ですから荷重のかかった手の上よりも、ロッカーのなかにあるほうが指輪のためになります。
布張りの仕切りか、やわらかい袋に、一つだけで入れてください。ダイヤモンドはモース硬度 10、モアッサナイトは 9.25 で、どちらもサファイアより硬く、サファイアに跡を残します。そして別のサファイアも跡を残します。同じ硬さ同士は傷をつけ合うからです。何もかも別の仕切りに、というのが簡単な決まりで、これは指輪同士がぶつかるのも防ぎます。湿気の多い時期は、しまう前に完全に乾かしてください。とくに裏が閉じた石枠では水が残ります。
一般には、通常の使用による変化です。ロジウムメッキは摩耗する層で、擦れる場所から抜けていきます。摩耗しない層として売られていたのでなければ、摩耗したこと自体は引渡しの時点の不適合ではありません。日本の契約不適合責任が問うのは、いまの状態ではなく、引渡しの時点で契約の内容に適合していたかどうかです。民法第562条以下は、適合しない目的物が引き渡されたときの買主の手段として、履行の追完の請求、代金減額の請求、損害賠償の請求、契約の解除を定めています。そして民法第566条について法務省の資料は、買主は契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨の通知が必要だとまとめています。引渡しの時点ですでに薄かった爪や、施されていないろう付けは、これとは逆に引渡しの時点の話になります。この答えは条文の内容の紹介であって、法律の助言ではありませんし、どなたの事案についても判断していません。
塩素が金合金のろう付け部に応力腐食割れを起こすからです。これは地金が壊れるリスクで、くすみのリスクではありません。ニッケルを混ぜたホワイトゴールドがもっとも起こりやすい材料で、温かい浴槽はプールより悪くなります。熱が反応を速めるからです。そしてこの壊れ方は前触れを出しません。先にくすむ段階も、色が変わる段階もなく、ある日ろう付け部が持ちこたえなくなります。つまりよく見ていれば気づけるというものではないので、観察では防げず、習慣でしか防げません。入っていた時間の長さは関係ありませんので、毎回外してください。コランダムそのものには、塩素は何もしません。
付きません。日本で鑑定書というとダイヤモンドの4Cグレーディングのことで、色石には発行されない別の書類です。色石に付くのは鑑別書で、石種、処理の有無、ときに産地を記載し、等級は付けません。海外のものとしては GIA のレポートがあり、印字された英語の表題で呼ぶのが正確です。ソーティングは簡易的な結果を記した紙片で、鑑別書の代わりにはなりません。そしてどの書類にも、お手入れの方法は書かれていません。石枠を見るのは工房の仕事で、鑑別機関の仕事ではないからです。鑑別書やレポートは、その機関が観察したことを記載する書類です。確認するのでも、保証するのでもありません。
当店の商品ページは、どの石についても処理内容を記載しています。鑑別書やレポートが付いている石については、機関名とレポート番号を記載します——GIA、AGCL、FGL、GIC のいずれかです。そしてレポートがない石については、ないとそのまま書いています。特定の石についての答えは、記事ではなく商品ページにあります。
当店は石を自ら買い付けています。多くはスリランカで、一部はマダガスカルです。産地はどの商品ページにも記載しています。そして産地は、洗い方を何も変えません。スリランカのサファイアも、マダガスカルのサファイアも、まったく同じように洗います。産地は品質等級ではありませんし、手入れの等級でもありません。石がどこで生まれたかと、どのように扱うかは、別々の話です。
石の選び方についてのご相談も承っています。
特定の石の丈夫さ、処理、石枠の形との相性についてのご質問は crescentgems@gmail.com までお送りください。
個別のガイドのなかには、現在のところ英語のみのものがあります。日本語でのご質問は、いつでもメールでお受けしています。
続けてお読みになる方へ
色、産地、形、鑑別書とレポート、そして価格の決まり方までをひととおり扱った天然ルースサファイアの購入ガイドにお戻りください。天然のルースサファイアを安心してお選びになるために必要なことを、順に書いています。
CG8469
ピンキッシュパープルサファイア 1.45ct 【加熱】 スリランカ産 GIA原産地レポート付
CG8454
天然オレンジサファイア1.63ct・オーバルカット・GIAレポート付・産地スリランカ(レポート記載)
CG8468
天然イエローサファイア 1.44ct 【加熱の痕跡なし】 スリランカ産 ラウンド ミックスカット GIA原産地レポート付 ルース
CG8465
1.86ct ツァボライト クッション 天然グロッシュラー・ガーネット|GIAレポート #1242032119
CG8464
天然イエローサファイア 1.16ct スリランカ産 エメラルドカット【GIA原産地レポート付】ルース
CG8463
天然ピンクサファイア 1.62ct マダガスカル産【GIA原産地レポート付】エメラルドカット ルース
CG8460
1.06ct ツァボライト クッション 天然グロッシュラー・ガーネット|GIAレポート #1242032053
CG8459
パープルサファイア 1.20ct 非加熱|スリランカ産|GIA原産地レポート付きルース
CG8458
2.05ct 加熱ブルーサファイア|産地:スリランカ(GIAの意見)|ルース・GIA原産地レポート付き
CG8457
1.75ct スリランカ産ブルーサファイアのルース|加熱|GIA原産地レポート付き
CG8456
1.65ct 非加熱ルビーのルース|マダガスカル産ルビー・オーバル・GIA原産地レポート付き
CG8453
非加熱 イエローサファイア 1.19ct クッションカット|GIAレポート|スリランカ(セイロン)
ブルースターサファイアの価格|1カラットあたりの相場と、当店にある8.09ctの1点
ブルースターサファイアは1カラットあたりいくらか。地色・重量・付帯する書類の三つで価格帯を整理し、現象を格付けする機関が存在しないことも説明します。当店の在庫は8.09ctの1点のみです。
ツァボライトの価格|当店の在庫6点と、グロッシュラー・ガーネットとの違い
ツァボライトはいくらか。当店が現在在庫する6点をすべて示し、重さで値段がどう変わるかを説明します。品質等級表を載せない理由と、大きくて内包物の少ない原石が採れにくい本当の理由もあわせて。
カラーチェンジサファイアの価格|1カラットあたりの相場と、当店にある2点
カラーチェンジサファイアは1カラットあたりいくらか。色と彩度と付帯する書類で価格帯を整理し、カラーチェンジそのものを格付けする機関が存在しないことも説明します。当店の在庫は1.03ctと2.01ctの2点です。
クリソベリル・キャッツアイは婚約指輪に向くか|モース硬度8.5と、留め方とお手入れ
クリソベリルはモース硬度8.5。クォーツ(7)やエメラルド(7.5〜8)より上、コランダム(9)とダイヤモンド(10)より下です。日常的に着ける指輪にとってそれが何を意味するかを、留め方とお手入れとあわせて説明します。
クリソベリル・キャッツアイの価格|1カラットあたりの相場と、当店にある2点
クリソベリル・キャッツアイは1カラットあたりいくらか。大きさと付帯する書類で価格帯を整理し、キャッツアイそのものを格付けする機関が存在しないことも説明します。当店の在庫は2.36ctと4.25ctの2点です。
シェア: